中国伝統医学では、人間の体内は体を正常に保つためのエネルギー(気血)がたえまなく循環していると考えます。
気血の循環がスムーズにいくことで、私たちの体は健康でいることができるのです。
気血が流れる道筋を「経絡」といい、この道筋の上にあるのがツボ(経穴)です。ツボを刺激することで、経絡の気血の循環が促され、体を正常な状態に戻すことができます。経絡全体の流れを良くする為に、同経絡上のツボにも良い影響を与えます。
経絡の中で基本となるのが、12の臓腑に対応した十二正経とこれらの経絡のバランスを調整する督脈、任脈です。合わせて十四正経といい、これらの経絡が順調に流れていれば、病気になることはありません。
肺経・・・肺臓の経絡で、呼吸、体内の水分調節、皮膚、鼻と関連があります。
肺は空気を体内に取り入れ、全身に供給する役割と同時に古くなった気を外に排出し、体に新しい気を取り込む働きがあります。
肺の機能が弱まると、口が渇く、顔がのぼせる、胸が苦しくなる、咳、動悸などの不調があらわれます。また、肌はカサカサになって艶がなくなり、声はかぼそく根気が続かなくなります。
大腸経・・・肺経と非常に密接な関係にあるため、呼吸器や皮膚の異常があるときは、大腸経のツボで治療することがよくあります。
大腸経が正常であれば、便通がよくなり、食欲も安定しますが、大腸経に異常があるときは、下痢や便秘といった腸の不調だけではなく、白目の黄ばみや喉の腫れ、歯の痛み、鼻の疾患が生じます。
大腸経の異常が長く続くと、へそや腰部の両わきにほてりや痛みが起こります。
胃経・・・胃は食べ物を取り入れて消化するという生命維持にとって非常に重要な役割を持っています。
胃は先天の性質よりも、生まれてからの生活が性質を左右します。
胃経の不調のシグナルとしては、皮膚の黄ばみや黒ずみ、唇の荒れ、腹鳴り、情緒障害などがあります。
胃は脾臓と連携して食べ物の消化、吸収を行うので、脾経とも関連の深い経路です。慢性的な不調がある場合は、左側の経絡を重点的に刺激します。
脾経・・・現代医学でいうところのすい臓を、中国伝統医学では脾臓と呼んでいます。
脾臓は、胃から運ばれた消化物を取り込み、五臓六腑に送り込む働きがあります。
脾臓は、胃と表裏一体の関係にあり、胃は陽、脾が陰にあたります。胃と脾はたがいに助け合いながら、「消化・吸収・運搬」という重要な機能を果たしているのです。脾経が乱れると、胃の痛み、吐き気、下痢、便秘、舌のこわばり、体のだるさとなってあらわれます。
心経・・・心臓の働きや精神と関連の深い経絡です。心臓は、五臓の中心的な臓器で、全身に血液をめぐらせて、体の諸器官に栄養を運びます。
心臓を病むと、喉の渇き、白目の充血、黄ばみ、みぞおちの痛みなどの症状を呈します。
また、イライラや不眠症、健忘、意識障害といった精神の不調を起こすこともあります。
心臓に変調をきたしている人は、顔は赤くほてり、ときに舌は紫色のうっ血が生じる事があります。
小腸経・・・小腸は、胃で消化された食物の栄養を吸収し、残りを大腸や膀胱に運ぶ役割を持っています。
昔から「腹が立つ」「断腸の思い」などの言葉に表現されるように、心の動きは腸の働きとも関連があります。過剰なストレスは、小腸の働きを鈍らせます。
小腸経の循環が滞ると、難聴、頭重感、喉の痛みなど、特に頭部の不調となってあらわれます。ひどくなると肩や腰に激痛が走る事もあります。
膀胱経・・・十四経の中で最も長く、重要なツボがたくさん集まっています。内臓の不調があらわれた場合、必ずこの経絡のツボに反応するといわれ、膀胱経の気血のバランスを保つことは、体を病気から守ることに繋がります。
膀胱経はあらゆる臓器と関連するため、循環が悪くなったときにあらわれる症状は、多岐にわたります。
なかでも、頭痛、鼻の疾患、眼精疲労など頭部の不調が出ることが多く見受けられます。
腎経・・・生命活動のエネルギーを蓄え、生殖機能、水分代謝や呼吸を調節します。脳、毛、耳、骨髄、尿道とも連携する経絡です。
腎が衰えると、顔は黒ずみ、骨や歯がもろくなります。また、立ちくらみ、口内の渇き、喉の痛みなどの不調も出ます。このような自覚症状や体が疲れて力が出ないときは、腎経にあるツボを刺激すると、力が湧いてきます。
腎経は健康のバロメーターとしても非常に重要です。
心包経・・・中国伝統医学では、重要な臓器である心臓には、膜があると考えられています。
心包は固有の機能を持たず、心臓を保護し、邪気から守る役割を果たしています。
心包に異常があると、心臓の異常と同様の不調があらわれます。
心臓の不調があるときは、胸の中心にあるだん中のツボをさわると、しこりや痛みが感じられます。また、顔の赤み、手のひらのほてり、動悸、わきの下の腫れなどがあります。
三焦経・・・人間のエネルギーは2つに分けられ、生まれつき持って生まれたエネルギーは先天の気とされ、生まれてからの食物や大気から取り入れるエネルギーを後天の気といいます。
三焦は五臓六腑を調整し、後天の気を補う働きがあります。
三焦は、上焦、中焦、下焦に分けられ、上焦は心、肺、中焦は脾、胃、下焦は腎、膀胱、小腸、大腸と関連しています。
胆経・・・胆、すなわち胆のうは肝臓と連携して働いています。肝臓で作られた胆汁は、胆のうにためられ、脾と胃の消化吸収作用を助けています。
胆肝は、人の精神と関わりがあり、胆肝が弱ければ、ストレスを受けやすく、病気になりやすくなります。
胆を病むと、白目が青みがかり、皮膚の艶がなくなります。また、側頭部、側胸部など体の側面に痛みがあらわれやすくなるのも特徴です。
肝経・・・肝臓は、体の内外の毒素を排除する解毒の器官で、気血の流れを良くしたり、血をためる役割も担っています。
肝経の不調は目にあらわれます。目のかすみ、斜視、ドライアイなどを起こしやすくなります。また、下腹部のこわばりなど消火器の症状もあらわれます。
女性の生理周期、妊娠などとも関連が深い経絡です。
精神活動とも密接な関係があり、怒りっぽくなったり、憂うつ状態に陥ります。
督脈・・・十二正経の陽の経絡(胆・小腸・三焦・胃・大腸・膀胱)の流れを調節する機能を持つ経絡です。首の付け根にある大椎で督脈と6つの陽経は結ばれています。
陽経の気血が多ければ督脈に流れ、気血が少ないときは督脈から供給されます。
督脈に不調をきたした場合、脊椎が緊張し、首から背にかけて反り返り、腹部が前にせり出した姿勢になります。また、陽経が乱れ、その影響は全身に及びます。
任脈・・・陰経(肝・心・心包・脾・肺・腎)の気血を調整する働きがあります。
また、任脈は、女性の月経や妊娠と関連の深い経絡でもあります。
任脈のツボを刺激すれば、月経不順、不妊、おりものなどあらゆる婦人科疾患に効果的です。男性の場合は前立腺肥大などに効きます。
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