タンポポは世界的に種類が多く、日本産だけでも19種が知られています。近年は西洋タンポポが急激に増えて各地に見られるようになりました。実際上、これら全体をタンポポとして単一に扱っていますが、薬用には日本種のタンポポを使うのが正しいのです。
タンポポはいち早く春を告げるなつかしい野草で、枯れ草にまぎれず黄色の花を咲かせ、肉質の直根をもつ多年草ですこぶる強健です。タンポポの若葉は根とともに薬効もありますが、食用として古くから賞味されている野草です。西洋タンポポは明治初期に野菜として栽培され始めました。根から作る代用コーヒーは自然食品として注目されています。
古い話では、2400年前ごろ越王が秘薬として愛用した還少丹というのはタンポポだったらしいと推測されています。これを用いれば筋骨を強くし、老衰したものでも若返って白髪が黒変し、抜けた歯も再び生え、若人が用いれば老年になっても衰えを知らないという大変な効能を伝えています。そんな効能は期待しなくても、生葉を茹でておひたし、ゴマあえ、または油いため、天ぷらなど楽しい食用として利用しても十分意義があります。
【薬用部分】
根、葉。
【採取時期】
開花前。
3〜4月に蕾(つぼみ)が伸び出て、まだ開花しない状態のものに根をつけて掘り採り、葉とともに水洗いして日陰に下げて乾燥します。これを生薬の蒲公英(ほこうえい)と呼びます。
【用法】
消化不良、浮腫、乳腺炎、胆汁分泌の促進に全草10gを煎じ分服します。イボには、根、茎、葉から乳汁を塗ります。
50種類近くの薬草や食品が配合されている美杏香ハーミットパウダーは、体内毒素を排泄してくれます。
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